2013/06/18

UIにおけるシンプルの価値と上岡龍太郎

フラットデザインですね。
iOS7のUIの画面キャプチャーを見ながら、Androidが前からやっていたよね、とかWindows8もその流れだよね。といった話題に花を咲かせたここ数日でした。
やっぱりシンプルを極めるとこうなるのかしらね。もっこりしたUIとか影とか立体感がシンプルじゃないよね。
的な話には「画面キャプチャーだけでいろいろ言っている」という違和感を超え、何かしっくりこない気分にさせられていたものです。
そんなときわたしが思い起こしたのは、桂三枝(現:六代 桂文枝)のことでした。
桂三枝といえば「いらっしゃ〜い」です。

「いらっしゃ〜い」

字面だけみると、ただの挨拶というか、だからどうしたのか。と、疑問さえ湧いてくる。
だがしかし、この言葉が三枝から繰り出された瞬間、人は笑うのです。
たぶん、三枝といらっしゃ〜いの歴史を知らない子供でも、笑うでしょう。
そして三枝以外の他のだれかがトレースしても、エモーションは伝わらないとおもいます。
そんなことを、実際iOS7に触りながら、感じました。このUIはお笑いにおける「いらっしゃ〜い」の境地だな。と。

いやー。ものごとは人が作るものですよね。
で、いろいろ考えていたら、昔なんかの番組で上岡龍太郎が「芸人の優劣は3分で決まる」と言っていたことを思い出しました。
3分間のトークで前の人間を抜くのが漫才の競争のしかただ。そぎ落としても面白いことを見せろ。とかなんとか。それを聞いて、他の仕事は楽なものだ。と思ったのでした。漫才も字面や絵面だけで語れない芸ですが、UIっちゅうのも似た意気込みは通用する世界なんじゃないかと考えました。しんどいけど。
デザインも漫才も人間相手の商売。理屈ばかりに囚われていてはいけませんなあ。


「いらっしゃ〜い」にかかるとニシナリですら「いってみようか」という気持ちにさせられます。