息子とジュゼッペ・トルナトーレ「ニューシネマパラダイス」鑑賞。漫画映画以外8歳で初めて見るふつーの映画だが内容はほぼ完璧に伝わったようでさすが名画。
映画狂のトト少年が映画技師アルフレッドから映画や人生について教わるという内容でございます。
映画館「ニューシネマパラダイス」を中心に古き良き田舎の風景が淡々と映し出される訳ですが、恋人が去って行った青年トトは後半、アルフレッドの「街を出ろ。お前の本当の仕事に就け。お前に会えなくなってもかまわない、お前の噂が訊きたい。二度と戻るな」の教えにしたがって、30年帰らない。そして都会で立派な映画監督となって、アルフレッドの葬式に帰ってきて感動のラストです。
アルフレッドが望んだように、トトは映画監督という立派な仕事に就き、尊敬を得て、生活も豊かになりますが、トトはどうやら青年の頃に愛したように女性を愛することはできなくなっていますし、まず、ラストまで表情が全くないという設定です。心が世界の外にほうりだされているからこそ世界を描く映画監督になれるのだということかもしれないですが。
面白かったのは、そういうことについては8歳でも気になるのだということです。
最後まで見終わった息子がしつっこく「トトは結局幸せだったの?」と訊くのですね。
村を捨てちゃいけなかったんじゃない?大切な友達は死ぬし、誰からも愛されてはいないし、家族ともはなればなれで、仕事だけでしょ?そんなの不幸せじゃない?アルフレッドはどうして出て行けなんて言ったんだろうー。と悩んでいました。
○○だから幸せだ。ということはないのだ。という話はまだ先のばしにしてもいいヤ。とおもうので、最後は幸せそうだったからいーじゃーん。と言っておきましたが、おそらく、幸せとか成功とかは、自分がいちど望んだような理想の自分に近づいて行く過程で、たまーに笑ったり、感謝したりできることなのだ。つまり、すごく粒度のちっこいことなんだねー。息子よ。とおもいました。だからずーっと幸せってことでなくても、それはぜんぜんアリなんだよー。むしろ大切なのは、理想の自分に近づくことなんじゃないのかな。