2012/10/30

なぜ人間は辛いものを食べるのだろう


息子が急に「なぜ人間は辛いものを食べるのだろう」と言い出したので「保存のためではないか」と返答したところ、中国人が辛い物(麻辣とか)を好むのは土地が広く海から陸路では食材が腐るのは理解できるがでは同等に広い国土を有するアメリカ人はどうなんだ。と問いつめられました。

アメリカは西海岸東海岸、北アメリカ、南米。とほうもなく広いにもかかわらず、アメリカみんな唐辛子好きとかきいたことないぞ、え?ああ?と。
北米は湿気がすくない乾燥地域が多いので唐辛子を使って保存する必要はなかったんじゃないですか?と仮説を立ててみたが、違うな..と息子。

中国人は...待ってたね。たぶんおいしいものをもってきてくれる商売人がいて、それをみんなあてにしてたんじゃないかなあ。でも、アメリカ人って「誰ももってきてくんないなら作るわ!もういいわ!」つって、そのへんにあるものとか、なんか適当に食っちゃったり作っちゃったりしたんじゃないの?と。

wwwwwwwwwwww
そうかっ!だから中国の保存食はおいしいものが多いのか!!わざわざシルクロードかけずって食品売りにいって「腐ってないけど不味いです」って突き返されたら帰り道でのたれ死ぬよねwwww。それはおいしくするひつようがあるわw
売りつけに行って突き返されないクオリティが必要だから乾燥食材がうまい。で、辛みとうまみの両立が上手。でもアメリカは土地が広くても勝手にその辺にあるものを食っちゃうし作っちゃったのかもなwww
と、みょうに合点がいきました。

中国は最強のコンシューマがゴロゴロしていて供給側は鍛えられているけれどポピュリズム過ぎてものごとがそだちにくい土壌。
米国はコンシューマーがいつでも作り手に転じる可能性があり供給側にとっては市場が厳しすぎてものごとがそだちにくい土壌。

どっちもどっちなのねw


2012/10/14

好きなことを時間をかけて丁寧にやり続ければ不可能なことは無い


今日、歩いていける距離の金魚屋さんを見つけた。
中目黒のドンキホーテの裏手の、目黒川を代官山のほうにちょっと行ったところにある「かのう」というお店。行ってみたら住宅地だし目立つ看板もないし、壁に直接「かのう」って書いてるだけで遠くから見ると、田舎とか下町にある「昔フトンやさんだったけど今はやってない」といった感じの店構えだった。が、近寄るとガレージ兼エントランスの脇に1mは余裕であるような巨大なガーとアロワナが数体(もう匹では収まらない迫力)泳いでいる大きな水槽がある。奥まった場所にはシートがかかった青い野外用水槽もあるしやっぱりアクアショップらしい。

おそるおそる入っていったら中から黒いタイトスカートに白いシャツの奇麗な奥さんが出てきた。野外水槽を覗いたら大きな赤い錦鯉が見えた。土佐金の赤ちゃんがたくさん泳いでいるタライもある。モーターの音がはっきり聞こえる静かな住宅地の真ん中で、この人は美しい魚に囲まれて暮らしているんだなあと余計な想像をするほど奥さんは不思議だった。アクアショップの女性店員といえばエプロンと長靴にジャージが普通だが、なんだが奥さんの自宅に上がり込んじゃったみたいな気分だ。

金魚が欲しいんです。ピンポンパールが1匹だけ居るのですが。と話すと、ピンポンは他の種類と混ぜて飼うことは出来ないので飼い足すならピンポンにしないといけない。奥にいるので見てごらんと通してもらった。奥は整然と大きい水槽が積んであって清潔だ。アクアショップはバクテリアの臭いがきつく、細かいところの掃除をあきらめている店が珍しくないのでびっくりした。
ここにも大小様々なガーやプレコ。歯が怖いゴリアテタイガーや、なんといっても淡水エイのドットスティングレーなどなど水族館でもこれほど多様な取り揃えはないんじゃないか。
ときどき水槽から水が飛び出してくる。奥さんが「この子はお水を噴くのが好きなんですよ」というとエイが水面に顔を近づけて水を噴き出してるのが見えた。かわいいやつだ(といってもドットスティングレーは刺されると相当痛い毒の尾を持っているので決してかわいくはない)。

金魚のことをすっかりわすれてじろじろ水槽を見ていると「奥に居る大きい子は見ましたか?」という。私は店の突き当たりの一番大きな水槽に居るアロワナのことだろうと思って「ええこの子たちはずいぶん大きいですね」と答えたら「その子じゃなくて、もっと奥の子」。でも奥は引き違いのテラス戸の前に空いた水槽が積んであって、ちょっとした中庭だけどもの置き場にしか見えない。なんのこっちゃ。奥に進んだら遠目に壁に見えていたのはコンクリートのプールの側面だった。水の音がする。上から覗いて思わず声が出た。四畳半くらいのコンクリートプールにピラルクーが居る。でも大きすぎて体の一部が水面に来たときだけぬらっとおせんべくらいの鱗の巨体が見えるだけ。2mはある。しょぼい目黒川のそばの閑静な住宅地に2mのピラルクー。「気合いを入れて育てているんですよー」と笑っている奥さんがテロリストに見える。このくらいのサイズになると「たまーにお友達をたべちゃうの」と教えてくれた。

目的のピンポンパールを2匹包んでもらっているあいだ、体調が崩れたときの対処方法の指示をもらう。ご家族のリビングに続くであろう家の内側をチラ見した。ここにも大きな水槽が、部屋のど真ん中を占領している。おおぶりの座布団みたいなエイがぺったりくっついてこっちみてる。ずいぶん大きいエイですねー。と声をかけると、この子がみんなのお母さんなんですよといって奥さんは笑っていた。あのスティングレーたちは目黒生まれなのか。いつのまにか外で錦鯉の面倒をみはじめた旦那さんが奥さんのほうをみて笑っている。ぶっ飛んだ素晴らしい夫婦だ。

ふたりともどれだけの試行錯誤を経てここまで独自の世界を作ったんだろう。どういう日々の生活を積み重ねているんだろうか。動物が好きだからアフリカに行くとか、ITで一旗揚げたいからアメリカ行くとか、ロックミュージックはUKだとか、いろんな人がいろんなことを言って「ここじゃなくてどっか」探しに奔走し、年月を敵に回しているというのに、この人たちは黙々と与えられた場所で王国を作っている。好きなことを時間をかけて丁寧にやり続ければ不可能なことは無い。それは時間がかかることだがおそらくそれが最も尊敬に値する生き方だというのは間違いない。
と、そんなようなことを2mのピラルクーに考えさせられた。
 
アクアショップ かのう