2012年3月29日、デジタルハリウッドお茶の水校にてJWDA WEB DESIGN AWARD受賞式がおこなわれました。
私は2次審査の審査員として参加。式の第二部では一緒に審査を担当したCI戦略コンサルタントでPAOSグループ代表の中西さん、ジャパン ライフ デザイン システムズ代表の谷口正和さん、アドエビスでおなじみロックオン代表の岩田進さん、オールアバウト代表取締役社長兼CEO 江幡哲也さんとパネルディスカッションをして締めくくりました。
ディスカッションでは受賞作の講評や、審査員それぞれが持つウェブというメディアに求められる今後などを話しました。
皆さんそれぞれ責任ある立場でデザインの世界に長く身を置かれていらっしゃるかたならではのご意見を共有してくださいました。なかでも印象深かったのは谷口さんの「瞬間のプロセスの重要性」と「個人の力」です。情報を提供する側の理論で「さあ情報を仕分けて選びやすくしてあげてるんだからおいで」とやるのではなく、お客さんが欲しいとか、知りたいと感じたその瞬間をいかにすぐに把握してそれに答えるかが今も昔もかわらないサービスの基本で「できません、ありません、知りません」が一番いけないことなんだ。という当たり前のことをどうやってシステムに取り入れて行くか。そのやり取りの瞬間のプロセスを突き詰めるのがサービスなんだよー。という話ですが、UXがどうこうという長い説明よりもずっと腑に落ちる話でした。
また、自信をもって個人の力を出す、表現することこそ、なにかをいちいち計画だてるよりもずっと速く世界とつながる方法になることを忘れるなともおっしゃっていました。わたしもそう思います。
わたしはこれまでなんとなく、年をとったとき必要な態度というのは、何か変化を起こす場所から離れて若い人の邪魔をしないように振る舞うことだと思っていました。
しかしそれはちょっと違っていたようです。日々知識を蓄えて、それをつねにいろんな立場の人と共有、交換しながら年を経ることで、何か変化を起こそうとしている場を支援することができるようになるんだなあ。先輩たちのようになるのは簡単ではないですが、そうなりたいと思いました。
昨日はそういうふうに、いろんなことを考えられる、素晴らしい場でした。
そして、やっぱり面白い、すごいと思えるメディアというのはやはりコンテンツが面白いことに尽きるものだとも感じました。
グランプリの「BRASIL・GIFU」
は私がすごく好きなサイトです。グラフィックをはじめ、制作部隊は地元岐阜のクリエーターを起用し、ブラジル人スタッフも居るチームだそうで、とにかくチームが楽しんで作っていることがよくわかります。言語レクチャーのコンテンツや、レジャーガイドの紹介文など随所に楽しさが読み取れます。こうしたチームプレイが光るサイトというのは稀少です。というのも制作はいつでも締め切りや予算といった「制限」に縛られるばかりか、わかるはずもない「結果の予測」と「最悪の結果を見たときの処理」まで求められるからです。想像ですが多分このチームのマネジメント担当さん(というか制作会社の株式会社うぶすな のリーダーさん)は「なんかあったときは俺がどうにかするぜ!」といった侠気のある人なんだろうなあ。ということまで0.5秒くらいサイトを見たとき頭を駆け巡ってしまうくらいノリの良い仕上がりなのが感動したのでした(実際お会いしたうぶすなのみなさんはホントにノリノリで素晴らしい大人でした)。ノリノリ運営大変だと想像しますが、これからも、楽しみながら続けていかれることを願っています。
システムを含め、できあがった仕組みは必ず腐ります。
できあがった仕組みをまわすのはたぶん一番労力がかからないことでしょう。でも、腐り始めたシステムの上で結局人は楽しめないのです。だってそれに関わる人はみんな「壊しちゃダメよ」っていつも叱られてばかりいるのですから。
毎日ぶっこわれたところをなおしなおし、それがたのしく、努力しがいがあって、そのなかでいろんなことを思いついちゃったり、昨日の計画をやっぱり変更して、日本再建の責任なんか負わず、それでもみんなが楽しめるからやっていく。そうやっていきいきと仕事ができればかならず結果は付いてくる。そう確信した夜でもありましたね。
おつかれさまでしたー!