今日はマイクロソフトのRemix Tokyo 09、基調講演を拝見して参りました。
演出過多なイベントでは、なんだかちょっぴりお寒い印象もあるMSさんでしたが、今回は音響も映像も、舞台装置の効果も、とても板についていました。
オープニングではデベロッパー プラットフォーム コーポレート バイスプレジデントのスコット・ガスリーさんが、氣志團万博のオープニング映像顔負けのコントを制作、上映。掴みはOKで温かい拍手のなか、さっそうと登場していました。
なんといっても今回の目玉はやはり「MSのイベントに川崎和男先生降臨」です。
ガスリーさんからの紹介で登壇した川崎先生は、無言のまま約4分にもおよぶ先生のプロモーションビデオを上映しました。
マイケルの(というかストリーミング放送の都合上、マイケルの声に似た違う人がうたっていた)Beat Itにのせ、先生の功績が次々に紹介されていきます。先生はご自分が「アウェイ」であることをよく理解していらっしゃるのです。医学博士であり工業デザイナである先生は、いつでも世界を外からご覧になれる知性を持っているのだな、と、あらためてあこがれます。
自己紹介が終わると先生は「これからコンピュータが消える日の話をします」と言いました。OS競合という経済呪縛の終焉による解放と、OSとwifiの融合、Not Contents, Context Procedure designの3つのキーワード。これがこれからのウェブやアプリケーションのありかたを変える、というお話です。
じつはこうした思想はすでに、
Gordon Moore
Paul Vixie
William J. Mitchell
という3人のデジタルキーマンによってずっと昔、予知されていたことだと先生は言います。デジタルメディアの制作に関わるプロであるなら、当然この3人の著書くらいはよんでおかなければなりません。と、くぎをさしながら、いつでも接続可能なネットワークのうえにあるオペレーションシステムが存在すればこそ、アプリケーションの既成概念が変化し、コンピューターがインビジブルになるのは当然のことなのだよ。と述べました。
我が日本アンドロイドの会の丸山先生もおりにふれ、ムーアの法則やトランジスタの歴史について話してくださいますが、どちらの先生も「当然の帰結」というふうにここ最近のお話をするところをみると、やはり、過去に始まった1つの流れについて終わりが近づいていて、同時に新しいはじまりがおこるタイミングなのだと感じざるを得ません。
さらに川崎先生は「意識社会」「情報、おしらせごと」「策略」が、クラウド型の世界でウェブが進化する先を見越すためのカギだと説明します。
コンテンツ、ではなくて、コンテクストを作る手続きのデザインが、これからのデザインなんだよ、と。さらに、今年の秋にも、もうディスプレーは要らなくなって、キーボードだって消えてしまうんだよ。と断言しました。それくらいのスピードで、変化は近づいているんだよ。と。
わたしはすっかり感化されて、先生が壇上で紹介した書籍を夏の間に読もうとわくわくしたのでした。
そして、そのあと登場した春日井さんまでがいつもの5割増しでハンサムに見えたのです。
本当です。
これも1つのUXでしょうか。
自分自身、意思、願いを持つことと、自分以外のひとの願いに思いを馳せることとか、だいじなんだなあ。と思いました。
William J. Mitchell
シティ・オブ・ビット―情報革命は都市・建築をどうかえるか
サイボーグ化する私とネットワーク化する世界