DESIGN IT!2009二日目に参加して、DITAのキーパーソンであるジョアン・ハッコスさんのお顔を拝見してきた。午後のパネルでは、私淑している高橋慈子さんのおはなしを拝聴。女性が仕切るパネルディスカッションなんてなんだか言語学的!(偏見)
DITAというのは、もともと取り扱い説明など、技術情報をデジタル化し、共有するための文書の設計方法のことです。
え、データ形式とかでないの?というかた。DITAはそもそもXMLスキーマなので形式ではないです。XMLもデータ形式ではないですよね。
で、そのDITAですが、もともとビックブラザーこと、IBMが開発しました。wikipediaでは「DITAにより提供される各基本要素を特殊化することで、利用組織の目的に合わせた情報アーキテクチャを構築することが可能となる。」と、3回読んでもよくわからない説明がなされていますね。噛み砕くと、DITAという規格が定めている要素(タグ)をうまく使ったり、指定の属性と組み合わせたりすることで、文字の固まりに存在意義を与えられるよ!ということです。ちなみに要素(例ではコンセプト要素)を並べるとこんなふうになります。
<concept id="concept">
<title>Bird Calling</title>
<conbody>
<p>Bird calling attracts birds.</p>
<example>
<p>Bird calling requires learning:</p>
<ul>
<li>Popular and classical bird songs</li>
<li>How to whistle like a bird</li>
</ul>
</example>
</conbody>
</concept>
なに?HTMLじゃだめなの?と思いますよね。わたしも思います。
ただ、DITAの場合、産まれたときの目的がはっきりしている、という点でHTMLとは異なります。DITAはそもそも、もの凄いページ数でありながら、クリティカルな用途のトリセツにむけて開発された言語であるらしい。それをいま、小さいアーキテクトにも応用しようとしてるらしい。その意図はいろいろあるだろうけども、とりあえずは製品取り扱い情報を、ウェブのテクノロジと連携させて広く再利用とか共有とかできるようにしたい。ということらしい。コンシューマとダイレクトに関係ない話ですが、そうしたほうがなにかと便利なんでしょうね。それを規格の策定に関わった人間自らが説いて回るってのもアメリカ人の底知れなさを知るところですが。
ちなみにジョアン・ハッコス女史はHP出身です。
ところで、トリセツといっても世の中にはいろんなトリセツがあります。ページ数の横綱としては、航空機のトリセツがありますが、ああいったものは、XMLでなんとかまとめられてコックピットに組み込まれたりしてるそうな。そういうのを編集するシーンを考えてみましょう。ね、大変です。参考となる編集方針が欲しいですよね。でないと、編纂に何年かかるか分かったもんじゃない。DITAは、規格通りにドキュメントを作成することで、既存の編集方針まで取り入れてしまえる。だから、大規模ドキュメントに強いと言われているのです(個々のトピックの書き方はまた別の議論ですよ)。
キャッチコピーをつけるとしたら、
「みんなのアーキテクチャ」
ないし
「サイボーグ編集長!」ですね(きっと顔はピエール瀧)。
あら?それってHTML5っぽくない?と思いませんか?わたしは思います。
たぶん、HTML5も最初はDITAっぽいセマンティックな編集方針を無理なく取り入れることを目的とせざるを得ない面はあったと思います。W3Cのまな板で議論するという目的を果たすために。
しかし、MSがやっと議論に加わった今となっては「これもこれもいらなくね?」という方向になるのは必然という方向のようです。だって言葉は目的ありき。HTML5って、周りを取り囲んでいる人を見ると、言葉を運ぶ葉っぱと思われてないものね。じゃあ言葉の運び方を教えてよ!となって、DITAに注目があつまる、という図式があるのですね。
でもあまりに、あまりに米国的!
仕組みをまんまとりいれることで、日本の文化もかわってゆくものなのかしら。
最後にもんもんとしたまま、おわります...。