2008年4月24日から5月6日の間新宿リビングデザインセンターOZONEにて開催されたOZONEクラフトマーケットが終了しました。
172の出展者が前期、中期、後期で入れ替えを行いつつ作品を展示、販売しました。
矢野と佐藤の切り絵チーム「キリエンタ!」は5月3日から6日までの後期に参加。販売はもちろん、たくさんの作家さんたちと作品制作の方法を共有しました。
キリエンタ!
作品を切って、貼って、整えて、並べて、売って。とリアルな作業が、なんともいえずものぐるおしい。放送作家の佐藤と、ライター仕事の多い矢野はどちらも普段頭しか使わない。展示は、ものづくりと肉体の関係を確認するまたとない機会です。撤収は力仕事になりましたが、不思議とあまり疲れませんでした。
マーケットはまた出会いの場でもあります。
会場で見つけた矢野イチオシの作品と作家さんを紹介します。
Central
Central プロダクトデザイナー/大森謙一郎氏のエコバック。
再生ポリプロピレン(ペットボトルとかの)を素材としたバック。ポリプロピレンは建材として利用される素材だそうです。エコとか以前に、発色とフォルムが抜群に良い。また、空気のように軽い点も魅力。形は写真でわかると思いますが、色は伝わりませんね。プラスチックのようにクリアでありながら、細かい繊維が絡み合ったマットなテクスチャーを持っているので最終的にはころっとした印象の色合いになります。黄色は焼きいもみたい!その色合いと、なで肩のフォルムの合うこと合うこと。雰囲気はクロックスのサンダルに近い感じ。アレとこのカバンを合わせればこの夏を楽しく過ごせるな。と直感して購入しました。
マーケットでは大森さんご夫婦とおちびさんの3人で出店なさっていて、ご夫婦が商品の説明をするなか、おちびさんが逃走(まだちょっと赤ちゃん)するたびどちらかが追いかけるという、癒しの風景でした。お二人とも、飾り気がなくて柔和でどっしりしている。そしてとても丁寧に商品の特徴を説明してくれた。カバンについては「あまり重いものを入れると持ち手の部分の形がちょっぴり変わるかも。」と、とても正直。欲しい色をお願いしたら次の日作ってくれた!会期中なので大変だったとおもう。人とつながるものづくり。って言うほど簡単なことではないなあ。と感謝の気持ちで頭がさがりました。
木馬・子供家具雑貨の店 「木とり舎」 木馬の製作と販売
木とり(ことり)舎 木下直樹氏のどんぐりカードたて
ふと通りかかったとき、ウッドバーニングのやり方を教えてくれたことがきっかけで作品を購入しました。ウッドバーニングとは、ペンの先ほど細い焼きごてで絵を描く創作方法です。木の材質(固いとか柔らかいとか、木によっては部分的に質が違うらしい)を見極めながら、木に筆先がくっつきすぎないよう描き進めるのがポイントだよ。羽でなでるようにね。とのこと。普段筆圧コントロールのできないわたしにはすごく難しそう。皮や紙にも味のある絵が描けるということなので、今度切り絵の表現にも取り入れようと思っています。
ドングリはとても丁寧に作ってあって、本物ソックリだけど木下さんの柔和な笑顔が乗り移ったような個性があって惹きつけられた。とってもゆっくり、笑顔でしゃべる木下さんは名字も「木」だが、きっと人となりも包容力のある大樹に似てきたんだろうなあ。
染付のうつわ 宮岡麻衣子
陶芸家/宮岡麻衣子氏のお皿
キリエンタ!と背中合わせで展示していた宮岡さんの作品。これはすげえです。陶器なんてネットで売ればよいのに。と思う人もいるかもわからんが、焼き物の構造色は残念ながら擬似的にディスプレー上で再現できないのでリアルで見ないとこればっかりはしょうがない。色だけでなく焼き物にはちょうどいい重さというのもあり、その重さが作品の質でもあるので工芸作品中最も「ネット販売に向かない商品」と言えるかも。固定ファンが手軽に買う道具にするなら別だけど、宮岡氏自身、そういう現実をわかっていらっしゃるせいか、リアルで見てもらうことに賭ける情熱が違う。
購入した作品は焼き魚を入れるサイズの四角い平皿。くっ、とかわいい重さがある。大きさはアジの干物がおさまるかんじだ。全体に透明感のある青い釉薬がかかっているんだが、その青さは、晴れた日の空に青いラムネびんを透かした時の色、またはとれたてのサンマの腹の色のように若くて澄んでる。
宮岡さんの、ちょっと内気そうだけど、ぱあっと笑ったときまっすぐに発散する上向きなかわいさが形や色に反映されているみたい。すきになってしまった。
結局、自分になっていく。という感覚は切り絵でもなんでもものづくりに絡む真理だなあ。と思っていたけれど、あらためて作品は作家と同じ顔をしているもんだなあ。としみじみしました。