サイバーガーデン益子貴寛氏は2006年7月6日、アップルストア銀座(3F Theater)でXHTML+CSS (r)evolutionを開催した。矢野も某媒体向け取材のため潜入させていただいた。
最大収容人数180人いったんじゃないだろうか。まず入りの凄さにびっくりした。内容もとてもおもしろかった。世の中いろいろ進化してるのにHTMLって6年前からかわってないよね〜。という問題提起が柱なのだが、いわれてみればそのとおりだ。矢野はHTML4.01に比べて すっきしたコードでかっこいいサイトの作れるXHTML+CSSに結構満足してしまっていたので寝耳に水。というほうが正しい。益子氏の流れるような弁舌に影響され、終わる頃には「そうよ!なによW3Cなんてちゃらぽこよ!おいてかれちゃうわよ!時代に・・」と熱くなっていた気がする。や、置いていかれそうなのは私のほうなのだが。
しかし、HTMLのような電子文書を構成する技術の話って、ISOだのW3Cだのといった国際標準化団体の動向チェックに終始しがちだったと思う。昔はそれが「アカデミック方面の人」の仕事だったのではないだろうか。ここでいうアカデミックというのは、高度な学問に対する探求心が旺盛で教育欲もある人という良い意味もあるが、えてして排他的で既得権益に敏感、かつ最終的に自らが築き上げた「説」の正当性を守るためなら近くの村は焼きます。という方向に魅せられていく人は国内にやたら多い。そうなってしまうと自分が属するコミュニティ外の人の言うことは耳に入れないわ、知り得たことも外に出さないわということになる。つまり、現場で使える知識を求めているうちは健全だが、頭でしかモノを考えなくなったとたん、目的が「いつも良いことを言う人になること」にシフトしてしまって、そうあり続けるための変な努力をするようになり、最後に腐る。という仕組みになっている気がする。勝手に腐ってしまうのはかまわないのだが、そのせいでたくさんの人に利益をもたらしたかもしれない「説」の成長も止まって結局夢やぶれてサンガリアになってしまうのは惜しい。
何が言いたいのかというと、益子氏は、あれだけ本を書いて講演してW3Cなど団体の動向にも精通して・・という「アカデミック」な仕事もしながらも、同時に現場の状況を改善する知識の探求に燃えっぱなし。だからいつも情報は外に発信し続けるし、意見交換する相手は選ばない。きっと常に心身共にフレッシュな状態でWebの未来を見据え続ける益子氏は、「説」の育つ土壌を作れる人に違いない。こう説明するとクールでナイスなガイだが、dl要素の応用例などを嬉々として語る顔はちょっといっちゃってるかもしれん。貴重な人である。見習いたい。