2009/07/19

エンタメ:ポケモン映画 アルセウス超克の時空へ

子供にせがまれ、はじめてポケモンの映画に行った。
劇場は開場時刻前から大混雑。小学生くらいの子はDSを持参している。来場し、かつ最新のDSソフトを持っていると「アルセウス」のポケモンをくれるんだって。さらにポケモンカードと、アーケードゲーム「ポケモンバトリオ」で使うアルセウスのパック(メダルのようなかたち)もついてくる。
さて開場。開始まで15分間延々協力企業の関連事業(仮面ライダー、シンケンジャー、ドラえもんなどなど)の宣伝が続き、最後に(DSを閉じろ)とポケモンの「ニャース」からご連絡。はい、始まりました。
で。終わりました。

ニャースがまた出てきて(DSを付けてもよい)という趣旨の連絡が出ておしまい。
公開開始直後なので筋は説明しないが、ひでー映画だった。
ストーリーの底が浅いとか、もったいぶってて冗長とか色々あるが、最も気になるポイントは「主人公を始め登場人物全員がまったく努力をしたように思われないにも関わらず、事が解決する」ところだ。
今回の映画のキーパーソンなんか、要所要所で念じるだけ。もういちど言う。念じるだけ。そんで全部片付きます。ノーリーズン、エンジョイ。
で、DS持ったがきんちょは「オレ最強のポケモンゲットした〜」と言って満足して帰ると。ポケモンゲームが主で映画は付録、と考えれば、映画としてまじめに観るのは間違っているのかもしれないが。

その後、バトリオのパックもらったせいで「どうしてもいちどやってみたい」と息子がゴネだし、駅前のおもちゃ屋へ。説明書きを読んでもさっぱりやり方がわからんわ。と思っていたらさっき映画館で後ろに座ってた小学生らが「おれわかりますよ」と。「おい、金」と母親に言いつけて100円入れたかと思うとやりだした。「ここで、押すんですよ。すげー押す押すおらおらおらおらああああ!!奇跡を起こすぜええええ!!いえーい100ごえ〜おれ最強、無敵〜〜」あ、ごめん、押すだけなの?押せば良いの?「そうですけど、オレくらいですよ。だいたい100とか超えるのって。」え?100超える条件は?「気合いっすね」え、気合い?気合い感知?

画面切替の合間にもDSを覗き込み、鬼の形相でただボタンを叩きまくる子供を見ていると、理解を超えたしくみの前に奇跡だけを信じて金をすっていくパチンコ狂いのおっさんが思い起こされ、悲しくなった。
ポケモンのルールというか、しばり的な考え方は、どうやら陰陽五行思想の木火土金水(もくかどごんすい)風な構造を取ってるようだが、なんせ大勝ちする時とか、強いアイテム(ポケモン)を手にするといった圧倒的カタルシスをもたらすイベントがぜんぶルールの外、つまりランダムで、自動的に与えられるしくみになっているために、ガキどもは「奇跡」とか「気合い」とか「運」を信じてゲームに向うことになっとる。

待てやコラ。これ作った奴、賭博黙示録カイジを1章から2章まで通読しろ。
勝ち方がはっきりしないゲームは子供にとって害だろう。
もうおもちゃ屋のわきで静かにぶちキレた私はその場をあとにした。
歩きながら息子に、勝ち方がわからないゲームはするな。奇跡はそう簡単に起こらん。まして、ボタン連射で奇跡が起こると信じるヤツはバカだ。こんなことに100円なんか使うな。と言い渡した。息子は「母親は子供の喜ぶことをしてくれるもんじゃないの?変な母親。」と言い返したが上等だ。子供の銭を巻き上げる商売だってべつに法に触れてなければまっとうである。だがしかし、支払った対価として心になあーんの豊かさも与えず、教えもなく、物欲を煽るだけ。かあさんそんなポケモンなんか、だいきらいよ。
まだディズニーのほうがうまくできてるわい。