2013/09/20

iOS7をおしゃれに使い続ける方法

なんかiOS7がかっこわるいという意見が多いので、デザイナー視点でおしゃれに使いこなす方法を考えました。参考にしてください。

1.バックグラウンドはグレーに
平坦になってもきらめくような色使いで見るたびワクワクするiOS7ですが、面が強調される外観になったせいでか、以前のバージョンよりも色の1つ1つが際立って目につくようになりました。主張の強い色は、並んでしまうと全体が「色で飽和した面」のように見えることになり、結果的に個々のアイコンに目が定めにくくなります。これが「iOS7はごちゃごちゃしているような気がする」という感覚の正体です。同じような光景は郊外にある広めのドンキホーテ店内などで見ることができます。色に色を重ねた売り場にあるそれぞれの棚が、まるで横尾忠則のポスターのようなカオスを感じさせますね。
あなたのiOS7がそんなことにならないために、バックグラウンドには必ずグレーのグラフィックに指定しましょう。グレーは色の飽和を抑え、各アイコンの色の干渉を断つ唯一の選択肢です。愛犬の写真とか、ハワイの夕焼けとかにしてはいけません。

2.アプリをダウンロードしない
Appleのオフィシャルサイトに掲載されているiOS7のホーム画面は文句の付けようが無い、グラフィックデザインとして完成された美しさです。デザイナー視点でみると、まさにそこがiOS7の欠点いや凄いところだと感じます。
もしあなたが無印良品で揃えた雑貨でリビンクを完璧にコーディネートしているとして、そこにオカンが町内会のお祭りで無料で配られたという商店街の名前の入ったコップを置いていったら、どうするでしょうか。
あなたはそれを見えないところにしまい込むはずです。そしてコップたった1つの破壊力の大きさを知るでしょう。
つまり、完璧な外観のコンポジションは、ぶち壊すのが簡単だということです。
そんな清らかなコンポジションに、ソーシャルゲームや占いやパズルのようなアプリのアイコンを並べてはいけません。アプリは極力ダウンロードしないようにしましょう。

3.iPhone 5sを買う
Appleは何年も前からハードとOSを二人三脚で進歩させてきました。古いハードでiOS7がかっこわるく感じてしまうのは、古いハードを使っている人が悪い。と、ジョブズが生きていたら言うでしょう。
抽象的なフォルムに有機的な動きが特徴のiOS7は、なめらかな動きを伴わなければデザインのポテンシャルは60%程度しか伝わりません。
また、繊細なグラデーションで構成したグラフィックは最新のディスプレイでのみ輝くはずです。
すぐ買い替えてください。

では、楽しいiPhoneライフを送ってくださいね。

2013/09/03

エロサスペンス史上最強最悪の悪魔

荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟
の中でエロサスペンス史上最強最悪の悪魔女優が出ていると評されていたのが「le'ennui 倦怠」。しかも荒木先生によると「ちょっとかわいいブス」とのこと。その容姿が気になって気になって読み終わってから速攻観ました。
確かにブスでした。ただし当然その佇まいは表現上の必然によるものでした。
倦怠は知的労働(大学で哲学を教えている)に従事する中年の男が17歳のぽっちゃりしたブスとのセックスに溺れる顛末をうまく描いた映画です。フランス映画らしく欲望の客観視が酷でした。もう突っ込むだけのセックスのあと、余韻もなくパッと体を離して帰り支度をし、ドアに向かって歩く女に後ろからさらに突っ込む。それは大食い大会でカレーを食らうギャル曽根を見るかのような、「食事って、なんだろう...」という本質からの離れっぷり。しかもブス。けどボイン。とにかくやりたい。お金をあげるから。いかないで。もういちどだけ。と、追いすがる男。これは荒木先生も恐怖におののくのわかる。「いっぺんやっただけでアウト」という覚せい剤級の効力を持つ女がいました。とう設定なのですから。

この物語は「若い女とセックス中に死んだ男」に興味を持った主人公がたまたま相手の女に会って、興味本位で自分も関係を持ったが最後えらいことになる。という筋なのですが、明らか薬物中毒の筋に同じなのでした。
セックスシーンが殺伐としていてこの映画のパッケージが醸す「エロいかんじ」への期待が砕かれるのが万人受けしないところではありますが、こういう女はアカン。という教えがあると同時に、アカン女への興味も十分かき立てられるんじゃないかという作品でした。

荒木先生は自分をよく理解している人間らしく「怖い!やだ!」とおおいに拒絶していましたが、うっかりすると人生の手の届くところにああいう女はいるでしょう。
わたしが関心したシーンは主人公がバスルームで鏡を見ている脇で女がパッとパンツを下げてジョロロロローッと小便をし、脇にかかっているバスタオルのはしっこをひょいっとつまんで股にはさみ2、3回往復させてもとあったところにかけなおすところです。
もうカメラは寄りもしない。こいつこういう奴なんだよね..的な。ファッションもいいかんじで、カボチャみたいな白いバンツはいてて安っぽいけど体の線がよく見えるワンピースで、主人公が「なんだそのシミ?」と指摘したら「あー服きたまんまセックスしたからー(別の男と)」とあっけらかんと答える始末。そのうえ男はおろか家族さえ愛さない空虚な精神だけどボインだという。怖いです。こういう女をみかけたらすぐ逃げた方がいいです。

で、面白いのは主人公の別居中の妻である知性的で美しい女性が、終始彼の愚痴を聞く役になっているところ。彼女に夢中なんだ!とか、彼女は俺を愛してないらしくてつらいんだ!とかいちいち聴かされても「あらまあそうなの...」なんていって聴いてあげてる。そういう嫁さんから逃げたくなる理由があったのもわかる気がするが、逃げるような奴だからこそアカンとこに堕ちるのもわかるようにできてる映画でした。

ちなみに美しい妻の役はアリエル・ドンバールという南米生まれ、アメリカ育ちのベテラン女優。アリエルの夫は政治にも発言権のある哲学者のベルナール=アンリ・レヴィ。映画のオープニングやエンディングには軽快なラテンミュージックがあしらわれてて、なんかアリエルに捧げてる感じがしないでもなかったです。
アリエル大好きですけどね。倦怠の時はもう50くらいだったと思うけどほんと美しかった。でも、アリエルみたいなつわもんの女から逃げない男はセクシーでふてぶてしく暑苦しいBHLのようなオッサンだけ...とおもえば若い女の体に逃げる人生もまあそれはそれでええんちゃいますかともおもいますた。