2010/08/30

千年女優

映画監督の今敏をしのぶ目的で「千年女優」を観賞しました。
今作品は過去に「パプリカ」しか観ていないわたしですが、一作だけでもその天才を知るには十分であり、それだけにこのたびの訃報は辛かったです。
そしてこれは、その千年女優についてなにか1つ言おうと色気を出してのエントリです。
同作に含まれる日本映画への数々のオマージュは、凄まじい物がありました。
わたしは日本映画にさほど詳しくないので実感としてあったのは東京物語のクライマックスの「わたくし、ずるいんです。おとうさまとおかあさまが思っているほど昌二さんのこと」のシーンの原節子の動きと表情くらいでした(セリフはまったく違うのをあてていましたが)。わたしのなかの小津映画の記憶がその瞬間、柱のように頭に刺ささったように感じたほどです。映画って凄いですね。また、そもそも本作の主役のモチーフは原節子さんですね。ご存知ないかたは是非小津作品を一度ご覧下さい。大変美しいかたです。

しかし一番わたしが色気を出して言及したいのは、冒頭とラストに出てくる宇宙船についてです。
みやーっと開く部分があるのですが、その部分が、日本映画孤高の巨匠、市川崑監督まさかのSF作品である「竹取物語」の宇宙船を想起させるのです。
市川の竹取物語は、日本映画史においてご乱心級の扱いになっていますが、わたしは関西人にしかなし得ぬ解釈として今も愛してます。そして千年女優のあのシーンは今敏監督の市川崑に対する執着を表すのではなかろうかと感じる次第です。
はずれててもかまいません。わたしは今も崑も好きなのです。そうだったらいいな、というわたしのエゴです。
ついでに竹取物語といえば1000年女王ですね。年がバレるのでもうこのへんでやめます。
あと1つ。
今監督のことを好きだと自認しているかたで、日本映画をあまりみていないかたがいらっしゃいましたらぜひいちどご覧になってみてください。面白いですよ。
市川崑なら「獄門島」とか取りあえずどうぞ。