2008/04/23

アックゼロヨンアワード

2008年4月23日アックゼロヨンアワード2007授賞式が東京国際フォーラムホールD7で開催された。
私は1次審査員だったので最終的な受賞サイトを見届けるべく、また取材を兼ねて初めて参加した。
会場にはノミネートされたサイトの権利者と制作会社、また1次審査員の一部と最終審査員の面々などが集まった。

グランプリはモリサワのコーポレートサイトだった。本当によかったと思う。
このサイトはリニュアル当初から本当に素晴らしいサイトだと思っていたのでうれしい。モリサワが築いてきた日本語組版の美学をサイトでも体現し、かつ啓発的な情報を常に発信し続けているところが凄い。自信をもって表現している態度。意気込みに溢れている。

で、それはそうとして今日はとても残念でした。
残念のハイライトは最後に麻生太郎氏が登壇したあたりだ。
氏はパネルディスカッションに登壇予定だったのだが、時間通りに到着しないということだった。氏の登壇までの間、本アワードの実行委員長であるビジネスアーキテクツの森田雄氏をモデレータとして、カフェグローブの矢野貴久子氏、多摩美術大学の宮崎光弘教授、日経BP社の勝尾岳彦氏、IMJの取締役荒井尚英氏、イメージソース代表取締役の伊藤幸治氏が四方山話をした。
パネルなのに四方山というのはおかしな表現だが、これは大前提として「麻生待ち」という指示のもとにはじまったパネルであり、これは森田氏も「来るまでなにかつなぎで話して」とおっしゃったので題目無しの雑談である。登壇者はそれぞれ自己紹介などするに留まった。その間、森田氏が提供した糸電話のような帯域幅の環境から海原のように広がる帯域幅を体感できる今、ネットに対して抱くインパクトは世代によって変わりますよね。といったような問いかけから雑談が続いたあと、麻生太郎氏の到着で空気が変わった。
到着時刻は17時10分くらいだったと記憶する。私は17:35分に出なければならなかったため、「本番」は20分程度しか見られなかったのだが、その間発言していたのはほぼ麻生太郎氏のみ(カフェグローブ矢野氏が1つ質問していたが)であった。
その間の麻生氏の話の内容は「商人はリサーチがヘタ。お年寄りのニーズを全く把握していない。私は巣鴨なんかよく行きますけど、ああいった場所では耳のサイズにピッタリ合う耳かきを売ってる。1本2000円から3000円くらい。それをマネしたのが新宿の京急百貨店。行ったことある?おばあちゃんとでしょ?」という街頭演説系トークである。最終的にウェブとどうこじつけたのだろうか。と気がかりではあるが、あまりウェブどうこうの話を主体的にするために来たというわけではなさそうだった。
というのも、アックゼロヨンアワードの共催者であるプロップステーションの竹中ナミ氏は麻生氏とマブであり、来てよ、行くぜ。で成り立っているような雰囲気であったのは会場にいるだけでわかった。不特定多数の人様にお見せするパネルの場で「ナミ姉(ねえ)」「太郎ちゃん」と呼び合っていればいやでも仲良しなのはわかるから。そうすることによる持ちつ持たれつの具体的な利害については知らないが、日本ウェブ協会がその状態を普通に受け入れていたのは不思議だ。
何を持って受け入れていたとジャッジしてしまうのかというと、授賞式の中、竹中氏は日本ウェブ協会の会長である森川氏を「森川ちゃん」とマイクを通じて呼んでいたのと、同協会の理事であるビジネスアーキテクツの森田氏は竹中氏を指して「ナミねえ」と呼んでいたことを指している。くだけすぎ。どうしてもうちょっと巻き込まれないように仕切れなかったのか。
今回、それでなくても本イベントのスポンサーである制作会社の手がけたサイトが数多く受賞しているのだ。普通にしていて内輪ウケとか言われやすい状況なのに、くだけすぎである。
さらにパネルの際、竹中氏は、麻生さんには若いウェブ制作者とディスカッションできるということで来てくれるという約束を取り付けた。でも登壇者が若くない。という主旨の発言をしていた。
その際、会場には笑いが起きたのだが、これはさすがに登壇者に失礼である。
竹中氏はこれまで障害者の活動に興味を持ってもらうべく、場所を選ばず面白トークを積極的に試みることもあっただろう。
テレビに出たとき面白く喋るって大事だなあ。こんどはもっとがんばらな、と思ったこともあっただろう。
しかし、本日の登壇者は、いじられて笑いを取ることに同意していない。
そもそも何かの授賞式において「イじられて笑われる」など予想外であるはずだ。
バラエティ番組じゃあるまいし、なにもテレビのまねごとをこんなところでしなくても。
さらにパネルでは「お待ちかねの麻生太郎」となっていたが、訊きたいか?政治家の話。私は受賞者の話こそ聞きたかった。最終審査員と受賞者が最近のウェブってどうよ?って討議する姿が見たかったよ。だってその場に居た受賞者の人たちって普通忙しいよ。受賞の段階で青い顔して睡眠時間足りてないのわかるから。そんな状態で来て巣鴨のじいちゃんがどうこうって。ウェブ協会が政治家と仲良くならなきゃいけない事情もあるのかもしれんけど、そんなのよそでやってくれてもいいんじゃないか?
ユニバーサルデザインの話をしているのになぜか空間的に閉じている、と感じたのが残念でした。