2006/07/05

さるかに

子供に「新さるかに合戦」を読んでやったら子供の頃思わなかったいくつかの点が気になる。
まずサルがおにぎりを持って歩いているカニに対し、「おにぎりは食べれば無くなるが、カキの種なら育てて長いこと食いつなぐことができる」というようなことを説明して交換に成功する。サルはすぐにおにぎりを食べてしまい、カニはカキの生育に成功。ご存じの通り問題はそのあとだが、カニは身体能力の問題でカキの実を採ることができない。そこへ件のサルが「とってあげよう」と嘘をついてカキを独り占めするあたりから事が動く。人に機会を与えたフリをして、成果を独り占めする、大人の世界ではありがちな頭脳プレーをサルがやってのけたわけだ。子供的には「カニかわいそう」であるが、大人のわたしからすると「カニ!だめじゃないか!」と思う。後先考えろよ!この身の程知らずめ〜。カキって高いとこになるんだよ。採れねえじゃん。しかも、「サルさん、採ってくださいな」って人任せか!と。
こういう取引上の問題を切り口にするとどっちもどっちなのだが、その後問題は暴力にシフトする。サルが「ひとりじめするなんてあなたはずるい」と糾弾されたことに腹を立て、カニの母に渋柿をぶつけてけがをさせるのだ(旧さるかにでは母は即死)。そこでやっと私は子供に「暴力はイカンよね〜」と合いの手を入れるわけだが、それもつかの間。こんどはカニ側の義憤に駆られた有志たちがサルを成敗する。目には目を。おいおいそれはいかんぜよ。ママの「暴力はイカン」というつぶやきもチャラである。旧さるかにの場合、サルは臼の一撃で即死するが、新さるかにの最後のページでは「心をいれかえたサルはみんなにカキをとってあげました」で終わる。しかも有志たちもご相伴にあずかってるし。食いたかっただけじゃないのか!?「まあ、そもそもカキを育てろって発想をくれたのはサルなわけだし、お前なかなかやるな」とかいってだれか少しはサルを認めてやってくれ。
だめだ。こんなややこしい中途半端な話は。子供本ラインナップからはずします。